African Agriculture: Land Reform or Land Grab?
このイベントは、Chatham Houseで一昨年から続いているシリーズもので
今回が最終回。 前回は institution というやや渋いテーマだったからか
かなり少人数でのイベントだったのだが、今回は大入り。
Land grab というのは、最近あちこちで取り上げられているように
最近のhot issueなのであります(前回のイベントのメモはこちら)。
今回も気になる箇所をメモ。
まずアフリカの場合、労働コストが低いため、小規模農家の方であっても
(特にlabour intensiveな作物については) 大規模なプランテーションに
生産性で負けていない、という話があった。
‘unit production cost’ と、‘unit transaction cost’ という言葉で説明されたのだが、
例えば農地を取得し、資本を投入し、市場へ持って行って販売する、というような
部分(transaction cost)については、小規模農家は大規模農家には勝てない。
一方で、同じ面積でとれる農作物の量を純粋に比較した場合、
安い労働力を大量に投入できる小規模農家の方が、むしろ生産性が高い。
「生産性と農家の規模が反比例の関係にある」というのが正しければ、
land reform を通じて小規模農民の立場を強化していくことが
アフリカの農業を強化する手法として理にかなっていることになる
(これには、大規模農業を優遇するような制度を廃止することも含まれる)。
環境の話は今回はほとんど出なかったのだが、小規模(労働集約型)の強みは、
例えば温暖化対策にも効果を発揮するのではないか、と思う。
単一作物を大量生産するような農法の場合は、その農作物が病気なり
気候条件の変化によってダメになった場合に大変な被害を受けるが、
小規模で、様々な種類の作物をあれこれ作る、という農法であれば
そのリスクは軽減できるだろう。 去年のこの記事でも
病原菌のリスクについて触れたけれど、food security強化のためにも
小規模農業に注目が集まるとすれば、面白い。
小規模が効率良いとはいえ、小規模である以上、大きなリスクを取れないので
結果、技術や農法の進歩のペースが遅くなり、成長が停滞してしまう可能性は?
という質問に対しては、確かにリスクを取らない傾向にあるけれど、
これはいける、という確信ができれば一気に変化する、という説明があった。
また、農業における技術革新、進歩というのは、農場だけで起きるものではないので、
例えば流通のネットワークであるとか、作物の加工、保存のための施設の整備などを
通じてアフリカの農業の成長を促すことができるだろう、ということ。
これは、前回のイベントの内容と同じ。 そう考えると、大規模農業が発展することで、
インフラ整備のための投資を呼び込むであるとか、そういう効果も期待されてよい
(小規模か大規模農業については、しばしば対立関係で捉えられがちであるが、
必ずしもそうではない)。
ここで land reform が land grab と繋がる。アフリカの農地に対する外国からの投資は、
特にメディアでは「買占め」的なセンセーショナルな取り上げられ方をするが
(そして実際そうした投資があることも否定できないが)、全ての投資が悪いわけではない。
むしろ、こうした投資を、アフリカの小規模農家が、その労働集約型の強みを
最大限に発揮できるようなインフラ整備であるとか流通網の構築につなげることができれば、
それはアフリカ農業にとっての 'opportunity' となるはずで、そのためにも、
例えばアフリカの政府が投資企業と公平な契約を結べるように支援する、
あるいはセーフガードの整備など、ガバナンスが大事ですね、というのが本日の結論。
Land grab については、以下の報告書・記事などを参考にどうぞ。
本日のスピーカーの一人は、最初の二つの著者でした。
- 'Land Grabs' in Africa: can the deals work for development?
- Land grab or development opportunity? Agricultural investment and international land deals in Africa
- “Land Grabbing” by Foreign Investors in Developing Countries: Risks and Opportunities
- Buying farmland abroad: The scramble for land in Africa and Asia
- China looks abroad to grow its own food
- Eco-millionaire's land grab prompts fury
- NHKスペシャル|ランドラッシュ ~世界農地争奪戦~
- 始まった農地の争奪―中国や産油国が獲得に走る“食料権益”
- 農地争奪と食料安全保障

最近のコメント